こむら返りについて
こむら返りは突然、足の激痛が起こることで誰でも一度は経験したことがあると思います。耐え難い
痛みが時には何分も続くこむら返りは、寒い夜に繰り返し起きる人も多いようです。一般には、
足がつるとか足の痙攣とも言われます。「こむら」というのは昔の言葉でふくらはぎ(腓腹筋)のこと。
こむら返りは医学用語では有痛性筋痙攣や筋クランプと呼ばれる症状のことです。メカニズムは、
筋肉にあるセンサーの誤作動で、歯止めを失った筋肉が勝手に暴走することです。このセンサーの
誤作動はどうして起きるのか?・加齢による新陳代謝の低下・筋肉の疲労・血流の低下・水分不足
・ビタミンやミネラルの不足・運動不足などによる筋力低下などの要因が関与しているようです。
このこむら返りは、寝ている時はもちろんですが、水泳やゴルフなどの水分が不足しがちな運動中にも
しばしば起きます。ではなぜふくらはぎ?と思いませんか。これには理由があり「直立姿勢を常に支え、
歩く時に絶えず伸び縮みを繰り返すので疲労しやすいこと、心臓から遠いために血流が滞りやすいこと、
仰向けに寝て爪先が下がっているのでふくらはぎの筋肉が縮みやすことから、つりやすいのです」
まずは寝る前にコップ1杯の水を飲んで寝酒は避けることが大事です。
JAMA internal Medicineという雑誌に昨年10月に掲載されたビタミンK2が切り札になる可能性が
あるようです。こむらがえりを繰り返す65歳以上の約200人を対象とした研究でビタミンK2のサプリを
飲んだところ、こむら返りの頻度、重症度、持続時間の大幅な低下を認めたという報告がありました。
このビタミンK2は筋肉の緊張を緩める作用があり、発酵食品などに多く含まれていて納豆やチーズを
日常的に摂取することが効果的なようです。また、ミネラル不足でもなりやすいとのことから、
マグネシウムが豊富なスルメや海藻類、胡麻やナッツを積極的に摂ると良いと思います。また、
仰向けでふくらはぎ伸ばしを起床時に1分間行い、足を温めるなどの温活をすることも重要です。
よく外来で芍薬甘草湯を処方希望される方もおられますが、10分くらいで改善します。これが自然の
治癒なのか芍薬甘草湯の効果なのかがわからない場合もあります。長期的にこの漢方を内服していると
甘草の副作用で低カリウム血症をきたす場合もあるので注意が必要なのです。