こりん星じゃないよコリンだよ
我々の体の最小単位は細胞です。細胞が集まり組織になって、組織が集まって臓器・器官を形成
しているのです。この細胞は薄ーい膜である細胞膜に囲まれています。それによって細胞の内と
外とに分けているのです。この細胞膜は地球上全ての生物に共通している特徴です。
細胞膜の主成分は「リン脂質」です。教科書的な図をお見せしたいのですが、わかりやすくいうと
レンガのようなものが集まって建屋の壁を作るように、細胞もリン脂質を集めて細胞膜を作ります。
一つの細胞に10億個ものリン脂質が用いられています。このリン脂質の半数は「ホスファチジルコリン」
という分子です。この材料のうち鍵を握るのはコリンなのです。コリンは他の材料と違って体内で
合成することができないので食べ物から摂る必要があります。健康に良い食事!と考えて意識して
コリンをとっている人はほぼいません!(と思います)。コリンは卵や魚、ブロッコリーなどに
豊富に含まれているのです。適度な摂取で必要な量を補うことができます。このコリンは、脳内で
「アセチルコリン」の材料となります。アセチルコリンというのは脳の中で神経伝達物質として
働く物質です。アセチルコリンが増えれば、記憶や学習の能力が高まりますし、減れば認知能力が
低下します。アルツハイマー型認知症はアセチルコリンの神経細胞が真っ先に機能しなくなって
しまいます。だから物忘れの症状や失語の症状が出現してしまうのです。普段からコリンを十分に
補充しておくことがアルツハイマー型認知症の予防に効果があり、発症しても軽くなることが動物
実験レベルで明らかになっています。昨年5月に「ネイチャー」という一流雑誌に発表されたのですが、
コリンは特殊な輸送ポンプで脳内に取り込まれていることが明らかになりました。
朝食の目玉焼きや焼き魚が実は脳を支えるコリンたっぷりだとは知らないで皆さん食べていませんか?