なぜ寝たきり・認知症になるのか?

答えとしては、人口の高齢化が最も大きな理由として考えられます。人間は年齢を重ねて
いくにつれて、運動障害や認知機能の低下など、様々な健康上の問題を抱えやすくなります。
ですが、寝たきりや認知症にもならずに元気に暮らす高齢者の方もたくさんおられます。
高齢化の次に関連する原因が慢性疾患の増加です。特に心血管疾患、糖尿病、呼吸器疾患
などの慢性疾患は加齢とともに増えていくのが特徴でもあります。これら疾患群が発症
することで、身体的健康の低下につながり、寝たきりになりやすくなるのです。
そして、要因の一つとしては、身体活動の不足とも言えます。座りっぱなしのライフスタイルや
定期的な運動不足は、筋力の低下、可動性の喪失および寝たきりになるリスクが増加する可能性
があります。私は外来でよく患者さんに言います。家でいると楽かもしれしれませんが、
デイサービスなどに出かけることで他人に気を遣ったり、体を動かす機会が増えますよ~と。
でも、大概の方はいいんです!家で掃除洗濯などやることがたくさんあって疲れるぐらい
動いているんですから(大きなお世話よ)と言われることが多いのです。実際問題、
日本の高齢者の皆様の多くは、移動能力の制限、社会的孤立、老人は慎ましくあるべきという
文化的規範などの理由により、非活動的な生活を送っていると考えられます。診ていて当然
なのですが、運動習慣の低下は認知症の発症を増加させたり、悪化させるのです。怖くない?
カナダのラヴァル大学老年医学研究ユニットは4,000人を超す高齢者の運動習慣を4年間追跡調査
したところ、週3回以上歩く人は全く運動しない人と比べて認知症を発症する危険度が3分の2に。
週3回以上速歩をしているひとたちは半分に減少することが明らかになりました。
なぜ、運動していると認知症の発症率が下がるのか?疑問ではないですか?有酸素運動は、脳への
血流を改善し、血糖値も正常化させることが要因と考えられています。
歩くこと、大事なんですよね。