2025.11.25

わしの腎臓、どうにかならんけ〜

腎臓は1度悪くなったら以前のようによくなることはないということを耳にしたことありますか?

でも、「なぜ腎臓の機能が一度悪くなれば元に戻らないのか」について正確に答えられる人は

おそらく少ないと思います。腎臓には腎小体(ボーマン嚢という袋に覆われた糸球体)1つと

尿細管1本で仲間を作っていてこれをネフロンと呼んでいます。ネフロンは腎臓一個に100万個

以上あって、体内の水分量のバランスを調整する働きをしています。腎臓の働きで重要なのは、

血液中の老廃物を除去することです。人は食べて栄養を吸収して血液を通じて細胞内に取り込み、

エネルギーを生み出しますが、その際に不要になった食べ物のカスや腸内細菌の死骸などの老廃物を

処理しなくてはいけません。このネフロン働き者ですが、なんらかの障害が生じると組織がスカスカに

なってしまう「繊維化」をきたすのです。このネフロンを傷害する原因として考えられるのが加齢です。

色々な研究でもネフロンは糖尿病や高血圧などの血流が悪化する生活習慣病によって減少することが

示されています。といっても、生活習慣にめちゃくちゃ気をつけていても腎機能が悪くなる場合も

あるのです。これは、ネフロンの数に個人差があるらしいのです。研究でも約13倍の個人差があり、

生まれた時のネフロンの数は潜在的な慢性腎臓病のリスク因子となることがわかっています。

「じゃあ、私のネフロンは何個ですかぁ〜?」と言われても困ります。計測できないのです。

その代わりに、eGFRという指標を用いて腎機能を推算しているのです。この数値に異常が出ると

いうことは、すでに症状がある程度進んでいることを示しているので、現状の腎機能検査で腎機能

低下を早期に発見することはなかなか困難なのです。だから定期的に血液検査でご自身のeGFRを

測定し経時的に見ておいた方が良いのです。受診!血液検査!尿検査!ですね。