アニサキスぅ〜

昨日もこのブログで登場したアニサキスですが、みなさんアニサキスに噛まれたことは
ありますか?私の学生時代は、金沢医科大学の当時3年生の時に医動物学という学問が
ありました。平たくいうと寄生虫などを学ぶ学問のことです。私はこの学問が本当に好き
で、こんなに面白い分野があるんだぁ〜と感心していました。何が面白いのかというと、
アニサキスもそうですが、細菌、ウイルスと違って目に見えることが多いのです。
サナダ虫と言われる日本海広節裂頭条虫もそうですが、お尻からきしめんが出てきた・・・
のように虫体が見えることが多いからです。この授業の実習で、サバの中からアニサキスを
探すというものがありました。先生たちが近江町市場に行って新鮮なサバを買ってきて
いただいたものを我々が捌くのですが、想像以上にアニサキスが多い!この鈍感な私でさえ
しばらく焼きサバを食べるのも躊躇するくらい、新鮮なサバにはアニサキスが多いのです。
このアニサキスはサバ、タラなどの寒い海に住む魚類やイカなど寄生する寄生性蠕虫(ゼンチュウ)
なのです。よく生サバを食べてアニサキスに感染すると、アニサキスが胃壁にかみついて
ひどい痛みを起こし、内視鏡でないと治療できないなどと報道されているのを耳にします。
ところが、アニサキスが胃壁にかみつくのは事実なのですが、噛み付かれた傷の痛みで痛い
のではありません。蚊と同じようにアニサキスはある種のタンパク質が出ていて、これが
アレルゲン(抗原)となって、かみつかれた胃壁中で強いアレルギーを起こして激しい痛みを
出してしまうのです。みなさんはこの痛み経験はありますか?私はないのですが、ある有名な
先生が過去2回アニサキス中毒を経験したけど、花粉症用の抗ヒスタミン薬で痛みが緩和され、
内視鏡なしでも完治したと言っています。あの小さなアニサキスが胃壁を食い破るなどと大袈裟
にいう人もいますが、元々アニサキスはサバなどの胃に住み着いて、胃壁にかみついて消化液で
流されないようにアンカリングする性質があるだけなのです。この作用でアニサキスは人の胃にも
かみついていますが、人の場合は長く定着できず、1日以内には自然に排虫されてしまうのです。
サバを食べて胃が痛くなったらぜひ試してみたい花粉症のお薬です。余裕があればね。