2026.06.14

ウンコじゃないよウコンだよ

「いや〜先生、昨日しこたま飲んだけどね、ウコンを最初に飲んでおいたから二日酔いにならなかったよ〜」と外来でお話しいただく人がおられます。この方のように飲み会の前にウコンのドリンクを飲むという方は多いのではないかと思います。「これで明日の朝は安心!」との思いで飲んでいるのでしょうが、実際のところはどうでしょうか?実は、今のところ「ウコンが二日酔いに効く」ということを科学的に証明した質の高い研究は全く報告されていないのです。確かにウコンに含まれる「クルクミン」という成分は肝臓を助けるような働きが期待され、細胞や動物レベルであれば実験で一定のデータも見られています。ですが、その実験で人間の辛い二日酔いの症状を軽くする!とまでは言えないのが実情なのです。二日酔い対策としては日本では「ウコン」が有名ですが、英国では「カリウムやナトリウム」が、オーストラリアでは「ビタミンB群」が最も人気なのです。国によって、商品だけでなく成分までもが大きく異なるところに、科学的なお墨付きのなさを物語っています。一流雑誌のBMJでも「二日酔いを確実に防いだり治したりできる、と断言できるサプリメントや薬は今のところ見当たらず、唯一の方法は酒の量を減らすかやめることだ」とお酒好きには残酷な結論を導いています。つまり1番の対策はなにか(サプリなど)を足すのではなくて、飲まないようにする引き算が、専門家に共通するいちばんの対策と言えるのです。では、外来でお話しいただく皆さんは、なぜウコンで効果的なのか?謎なのですが、信じることは大事なので何も言いません。ただ、ウコンには苦い思い出があります。医者3年目の病院でICUを心臓血管外科が担当しているのですが、劇症肝炎で入室してきた消化器内科の患者さんがいました。その原因としてウコンが挙げられていました。その方には当時血漿交換などを行なったと思いますが、回復されて無事退院に至ったことを伺いました。それから個人的には「ウコン」を口にするのが怖くなったのは言うまでもありません。