シルクロード病?
皆さんはベーチェット病(Behçet’s disease)を聞いたことがありますか?私は、恥ずかしながら、
久しぶりに聞きました。というのも医師国家試験には必ず出題される疾患なのですが、その後の私の
外科医人生でも、内科(高齢医学科)では、ほとんどお見かけしませんでした。旭川の時と大阪の時に
お会いしたことがあると思いますが、それでも今まで5人未満だったと思います。ベーチェット病は、
口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つを主症状とする慢性再発性の全身性
炎症性皮膚疾患です。なんだか難しいですね。この病気はシルクロード病と言われています。
なぜシルクロードなのか?それは、イスタンブールのある地中海沿岸から中近東、日本を含む東アジア
というかつてのシルクロードのあった場所というか沿線に多発しているのです。学生時代にHLAーB51、
A26という遺伝子が発症に関与していると習いました。つまり交易によって民族移動でHLAが東へと
伝わり、遺伝されてベーチェット病が伝搬されたのだろうと考えていました。しかし、どうやら遺伝
だけではないようなのです。シルクロード沿いの地域と同等のHLA ~B51抗原陽性頻度である、
イタリア、ポルトガルのエスキモーにおいてはほとんど発症はなく、さらに日本人と同じ遺伝子背景を
持つはずの日経ハワイ人においてもベーチェット病の発症は報告されていません。さらに、
フィンランド人が日本に移住した2年後にベーチェット病を発症したことも報告されています。
遺伝的要因だけではなく、シルクロード沿線のなんらかの環境要因が発症に関与していそうです。
環境要因としては、ウイルス感染、細菌感染、農薬などの微量化学物質などの可能性が言われています。
いずれにしても、謎の病気ですね。
ちなみにBehçet’sのçはあまり見かけませんよね。実は命名したのがイスタンブール大学皮膚科の
Hulusi Behçet教授にちなんで命名されているからです。トルコ語なのかな?