2025.03.17

シルクロード病?

皆さんはベーチェット病(Behçet’s disease)を聞いたことがありますか?私は、恥ずかしながら、

久しぶりに聞きました。というのも医師国家試験には必ず出題される疾患なのですが、その後の私の

外科医人生でも、内科(高齢医学科)では、ほとんどお見かけしませんでした。旭川の時と大阪の時に

お会いしたことがあると思いますが、それでも今まで5人未満だったと思います。ベーチェット病は、

口腔粘膜のアフタ性潰瘍、外陰部潰瘍、皮膚症状、眼症状の4つを主症状とする慢性再発性の全身性

炎症性皮膚疾患です。なんだか難しいですね。この病気はシルクロード病と言われています。

なぜシルクロードなのか?それは、イスタンブールのある地中海沿岸から中近東、日本を含む東アジア

というかつてのシルクロードのあった場所というか沿線に多発しているのです。学生時代にHLAーB51、

A26という遺伝子が発症に関与していると習いました。つまり交易によって民族移動でHLAが東へと

伝わり、遺伝されてベーチェット病が伝搬されたのだろうと考えていました。しかし、どうやら遺伝

だけではないようなのです。シルクロード沿いの地域と同等のHLA ~B51抗原陽性頻度である、

イタリア、ポルトガルのエスキモーにおいてはほとんど発症はなく、さらに日本人と同じ遺伝子背景を

持つはずの日経ハワイ人においてもベーチェット病の発症は報告されていません。さらに、

フィンランド人が日本に移住した2年後にベーチェット病を発症したことも報告されています。

遺伝的要因だけではなく、シルクロード沿線のなんらかの環境要因が発症に関与していそうです。

環境要因としては、ウイルス感染、細菌感染、農薬などの微量化学物質などの可能性が言われています。

いずれにしても、謎の病気ですね。

ちなみにBehçet’sのçはあまり見かけませんよね。実は命名したのがイスタンブール大学皮膚科の

Hulusi Behçet教授にちなんで命名されているからです。トルコ語なのかな?