今でも外来の場面で、「先生、私卵我慢しているの〜」という方に出くわします。

健康のため（コレステロールのため）に卵は1日1個にしているとのことです。

厚生労働省は5年おきに日本人の食事摂取基準というものを発表しています。

どんな栄養素をどれくらい食べたら良いのか、あるいは食べるななどエビデンスに基づいて

細かく規定されています。

大問題となったのは2005年版でした。コレステロールの摂取量の上限が男性750mg/dl、

女性600mg/dlと明記されたのです。これは、日本人の食事摂取基準は栄養素の摂取量の基準で

あって、食べろ、食べるなということにはなりません。つまり上限値を守ろうとすれば卵は

1日1個までとなったのです。卵1個のコレステロール量は250〜300mgです。肉や魚にも

コレステロールが含まれているので、卵2個を食べるのならば、肉や魚を大幅に減らす必要があります。

2015年に出た基準ではコレステロール摂取量の上限値が削除されましたが、2020年の改訂版では

脂質異常症と診断された人は、コレステロールの摂取量を1日200mg以下にするべきだとしています。

なんと！卵1個に満たないのですよ！そんな無茶苦茶な〜と思いました。

さらに2020年版には良質な動物性タンパク質を十分に摂りなさい。と明記しています。

そんな条件では献立はできるはずもありません。

詰まるところ、厚生労働省が献立を示してくれるまでは好きなだけ卵を食べれば良いのです。

良かったですね。