ニセ科学の疫学
エビデンスが〜とよく耳にすることもあると思いますが、一言で言うと科学的な根拠ということです。
その根拠は何?となりますと、研究された疫学がもととなってこの治療法が効く!とか無効!という
ことが言い切れるのです。そして疫学というのは症例対照研究、記述疫学研究、コホート研究などが
挙げられます。この中でもコホート研究というのは調査時点で、仮説として考えられる要因を持つ集団
と持たない集団を追跡して調査することで、両者の群の病気の発症率や死亡率を比較する方法なのです。
わかりやすくいうと、当たりをつけて集団を時間を追って観察していくことなのです。その観察の仕方
でも今から30年間観察しよう(前向きコホート)や30年間遡ろう(後ろ向きコホート)があります。
研究の質としては前向きコホートが優れているとされています。一方で今のこの瞬間を見る横断研究
という方法もあります。この瞬間のデータで判断するので「ストレスがある人は、血圧が高い」とか、
「肥満者は糖尿病が多い」などその瞬間のことを指摘します。でもその瞬間での事実からの判断なので
ストレスで血圧が上昇しているのか、血圧が高くてストレスになっているのか因果関係は不明です。
医学は、病気が起こる前に病気の原因があることが重要なので証明しなくては意味がありません。
つまり横断研究は不向きで前向きコホートが優れているのです。
よく引き合いに出されるのが、電子レンジと発ガンについての話題です。電子レンジが1970年から
1990年にかけてご家庭での普及率が高くなり、癌の発症数もこの間に急速に増えています。世の中的に
電子レンジのマイクロ波が発がん性物質を増やした結果、がん患者が増えたという人もいます。
でもそれは本当でしょうか?経済成長に伴い電子レンジの普及も高まり、さらに高齢者率の高まりも
一因ではないかと思うのです。事実、年齢の影響を調整する統計で補正すると日本国内でのがん発生率は
決して増えてはいないのです。実際には関係ないことを、でっち上げて原因と結果を結びつけてしまう。
これがニセ科学の疫学なのです。騙されてはいけませんが、普通騙されますよね〜