2025.09.07

ヒトの悪い面ばかり見ないでよ~

いりたに内科かかりつけクリニックは通常の外来と訪問診療の2つの機能を有したクリニックです。

実は、それ以外にも緑小学校・緑中学校の校医を勤めたり、老人施設の嘱託医をしております。

学校医以外はほとんどが成人の方々を対象として診療しているのです。私の専門は老年科であり、

まさにご高齢の方の診療をするために今までのキャリアを積んできたようなものなのです。ここ最近、

私は違和感を感じてならないことがあります。それは、施設の看護師さんから報告を受けるのですが、

悪いことばかりを羅列されるのです。そりゃ、看護師だから当たり前だろ~と思うかもしれません。

職務上必要なことは百も承知ですよ。でも、全部が悪い情報ってことはないよね~というのが持論です。

一般論として、他人の振る舞いや素行をどれほど気にするかは人それぞれですよね。少々のことなら

気にならないし、気にしないようにしているという人も多いと思います。ですが、社会的に好ましくない

とされる行動を実際に目の当たりにすると、それが契機となってバイアスがかかってしまい、以後その人

の悪い部分にばかり目が行くようになってしまうこともよくあるのです。このような相手のネガティブな

行動を優先的に認知して評価に結びつけようとするバイアスのことを「ネガティビティ・バイアス」と

よんでいます。一般的にネガティブな行動というのは暴力や窃盗などの犯罪行為のみならず、身近な

ところで他人の悪口を言う、自己中心的で周囲を顧みない、平然と嘘をつくなどが挙げられます。

普段は真面目で献身的な人であっても、悪い部分を強調して評価してしまうのがネガティビティ・

バイアスの怖いところです。昨今の流行として○○ハラスメント!として大騒ぎになる風潮があります。

恐ろしいバイアスですよね。我々の医療業界でも一緒であると考えます。

その偏った見方で施設入所中の高齢者さんが評価されるとしたら怖くないですか?

私は言います。「何か良かったことはないのでしょうか?」「上げ足を取らないでください」もちろん、

職務上施設にお勤めの看護師さんが目につくことは分かりますが、「今日は血圧が良かったですよ」でも

いいじゃないですか。みんな必ず調子がいいところはあるはずです。そんな目で患者さんをいつも見て

いたいと思います。