フロイトのがん

フロイト?誰ですかその人?ってことになりますよね。心理学の三大巨匠といえば、フロイト、ユング、
アドラーということになります。フロイトは心理学者であり精神科医であった方です。夢判断とか
精神分析入門という代表作を残した大先生です。精神分析学の創始者ということになります。
このフロイトさん、本名Sigmund Freud(ジークムント・フロイト)は、1939年の今日9月23日に
亡命先の英国ロンドンで息を引き取りました。15年にもわたって治療を続けてきた上顎がんの進展
によるがん死でした。フロイトのトレードマークだった葉巻、そのヘビー・シガー・スモーキングは
一生止まらなかったのです。ある日、彼は口の中にちょっと分厚いところがあることに気づきました。
かかりつけ医のドイッチュは、フロイトの心臓発作を恐れて悪性とは告げずにただ切除を勧めました。
フロイトはこっそり旧友で腫瘍が専門のハイエック教授を訪ねて恐れていた宣告を受けると、以後、
ドイッチュには一切診察させなかったと言います。1923年4月の最初の手術以後、都合33回もの
手術を受けることになりました。度重なる手術と掻爬で弱り切ったフロイトに追い打ちをかけたのは、
ナチスドイツでした。自宅入り口をユダヤ人をしめすハーケン・クロイツで封鎖され、財産は没収。
パスポートも取り上げられて自宅で軟禁状態となり、闘病に疲れて歩くこともままならなくなり、
42年間過ごした自宅兼診療所で死ぬことを覚悟したそうです。このフロイトの苦境に世界中から援助
されて、とくに以前から患者であり後援者であったギリシア王の義妹マリー・ボナパルト妃は莫大な
身代金を負担して1938年6月にフロイト一家を英国に連れ出したのです。ロンドンに落ち着いてから
最後の力を振り絞って一冊の本を書き上げたものの、日増しにのどの痛みが強まって主治医のシューア
は、モルヒネを投与しました。3回目に投与されたモルヒネでフロイトは眠るように逝ったそうです。
大学1年の心理学ではよく聞く名前でした。大家であっても癌からは逃れられないのですね。