今日はビタミンの日!
今日12月13日は、明治43年1910年に東京帝国大学農科大学教授の鈴木梅太郎先生が、新栄養素「アベリ酸」を東京化学会例会で発表した日なのです。アベリって何?ということですが、ア○○というのは否定の意味を持つことが多いのです。例えば、apneaアプネアは、無呼吸。asepticアセプティックは無菌のという感じで「無~」とか「非~」といった感じになります。ベリというのはベリベリつまり脚気ということで、アベリはベリベリ(白米病、脚気)を否定する意味で、イネ属の学名”Oryza L.”にちなんで”Oryzanin(オリザニン)”に変更されています。ですが、これこそがビタミン発見の第一号だったのです。鈴木先生は明治22年に東京農林学校(東大農学部の前身)に入学し、農芸化学科を明治29年に卒業。5年間のドイツ留学から帰国した彼は、1897年にオランダのエイクマンが報告した「白米病のニワトリがコメヌカで回復する」実験を追試して、1910年にコメヌカから有効成分の抽出に成功。しかし、1年後にロンドンのカシミール・フランクもコメヌカから同じ有効成分を抽出し、これを生命(ビタ)に不可欠な塩基(アミン)つまりビタミンと命名したので、こちらのほうが正解的に通用してしまったのです。鈴木先生とフランク先生の新栄養素はともに不純物を含んでいたのですが、1926年に純粋結晶として取り出されて「アノイリン」と命名されました。さらに1935年には化学合成によって構造式が決定され、硫黄を含むアミン化合物「チアミン」と呼ばれ、1966年にこれがビタミンB1の化学名になったのです。オリザニンはすでに使われることはなくなり、フランクの”Vitamin(ビタミン)”はその後発見された多くのビタミンの総称として使われています。本当であればビタミンCとかDとかではなく、会話の中でも「私~オリザニンC飲んでるよ~」みたいな感じになるはずでした。残念ですね。