免疫細胞も寝たい?
疲れているそこのアナタ!風邪をひきやすくないですか?実際、体感として感じておられるでしょう。
実は睡眠と免疫には強い相互関係があります。免疫システムには白血球とひとくくりにされますが、
B細胞やT細胞、NK(ナチュラルキラー)細胞などがあります。これらの細胞たちの働きを簡単に
説明すると、感染症の原因とされるウイルスや細菌が体内に入ってくると、「ヤバイ!来たぞ!」と
NK細胞が活性化し、病原体を攻撃して食べ尽くします。さらに病原体の情報を受け取りB細胞と
T細胞が活性化して病原体を別のルートで攻撃します。このシステムを調整するのがサイトカインと
呼ばれるタンパク質なのです。
寝不足になると免疫細胞の数が減り、活性も低下しました。NK細胞を例にすると4時間の睡眠だと
活性が28%低下した報告もあります。サイトカインも減り免疫システムが効果的に働かなくなります。
2015年に発表されたSleepという雑誌には、風邪ウイルス入りの点鼻薬を投与後にホテルに6日間
隔離してアデノウイルスを含む点鼻薬を投与してから、ウイルス量と免疫機能を確かめた実験です。
もはや人体実験ですね。5日後の感染率を睡眠時間毎に比較すると、睡眠時間が短いグループ
(5時間未満)がよく寝たグループ(7時間超)よりも約3倍感染率が高くなりました。つまり、
ちゃんと寝なければ3倍も風邪をひきやすくなるのです。この話を我が家でしたところ3人の子供
のうち長女と次男がすぐに寝ました。影響されやすい(笑)。
ちなみに予防においても睡眠不足であると、ワクチンの効果が低下することもわかっているのです。
睡眠時間6時間未満の男性では、免疫反応が十分に得られないことが明らかになっています。これは、
ウイルスを認識して、B細胞に伝えるための抗体が十分に作られていないためです。ワクチンの効果
恩恵を受けるためには、少なくとも接種前数日間は7〜8時間の睡眠をとることがお勧めです。
Prather AA et al. Sleep vol38(9);1353-1359.2015