処方カスケード
初めて聞く人が多いのではないでしょうか?実際、医者でも知らない人が多いと思います。聞いた
ことがあってもきちんと説明できる人は少ないと思います。当院に通院していない方は、ぜひ主治医
に「処方カスケードって何ですか?」と聞いてみてください。
カスタードクリームも美味しいけれど、ホイップクリームが好きだな!なんて言ったら、笑いの
センスは認めましょう笑笑。
処方カスケードは薬による副作用を別の疾患などによる新たな症状と誤認して、その症状を打ち消す
ために新たな処方を行うことです。近年はこの概念が拡大して、新たな市販薬の開始と新たな検査の
施行、新たな医療デバイスの開始まで含めた大掛かりなものとなっています。早い話、風が吹けば
桶屋が儲かる的な、バタフライエフェクトとでもいうのでしょうか。今日の話題は処方で考えます。
例えば痛い、痛いと腰痛をどうにかして欲しいという方がおられました。その方に対して①痛み止め
(非ステロイド性抗炎症薬)を処方しました。その結果今度は浮腫が出てきました。これは困ったと
②利尿薬を処方したのです。すると患者さんは頻尿が困ると医者に泣きつきます。また困ったねと
③抗コリン薬を処方して今度は便秘になってしまうのです。今度は便秘に対して④下剤を処方してと
ざっと、こんな感じです。まるでおむすびコロリンのようにどんどん進んでいってしまうのです。
処方カスケードの要因は、クスリの副作用が新たな症状と誤診され、それに対して新たな薬が処方
されているので、ある意味診断のエラーなのです。薬剤性なのでは?と疑う心を持ち合わせなければ
薬屋さんだけが喜んでしまう事態に陥りかねません。薬剤生の症候は高齢者に多いのです。
なぜなら、高齢者は複数の疾患を持つことが多くて、それぞれの疾患に対して薬を服用しているから
薬の副作用が起こりやすいのです。この処方カスケード、皆さんもお分かりいただけたと思うのですが
ポリファーマシーという多剤を内服する状況になりがちなのです。薬の種類が増えれば、薬と薬の
相互作用や副作用のリスクも増えます。その結果、新たな症状が出現して、それが新たな疾患と
誤診されるのです。このカスケードを終わらせるの、あなた自身か医者のか薬剤師さんでしょうか!