処理水 VS PM2.5
あまり政治絡みの話題はこのブログではしたくないのは実情ですが、私も医師である前に人間
なので、ニュースなどをみていて思うことはあります。いつも福島第一原発の処理水放出に対して
中国が反発して、日本産の魚介類の輸入禁止を発表したりしています。そして中国国内にある
日本企業が言われのない攻撃を受ける。確かに原発の処理水放出に関しては国内でも賛否が分かれ
るところですが、東京電力のホームページによると処理水1Lあたりの放射性同位元素トリチウムの
濃度は、207ベクレルになります。1日に放出される処理水は456m3なので94,000,000ベクレルに
なります。1日あたりの放出量が半径1kmの海に拡散するとして水深が10m(平均)とすると、
放出される海域の海水量は3.14✖️1000✖️1000✖️10=31,400,000m3になります。つまりこの海域
での平均トリチウム濃度は94,000,000➗31,400,000=3となり海水1m3あたり3ベクレルです。
このトリチウムが体内に取り込まれて被曝する内部被曝を考慮すると、1ベクレルあたり100万分の
1ミリシーベルトになることを示します。トリチウムは0.042ナノシーベルトとなります。飛行機に
乗っても、レントゲンを撮っても放射線被曝がありますが、ほとんど影響を与えない数値とも言えます。
水俣病の原因はメチル水銀と言われています。このメチル水銀が、プランクトンに吸収され、捕食
したイワシが、サバに食べられてさらにマグロの餌になるといった生物濃縮もありますが、トリチウムは
生物の中で蓄積しやすい物質ではなく、海洋生物に与える影響も微弱であることは明白なのです。
余程原発の津波の際に、放射性物質(セシウム137、ストロンチウム90、ヨウ素131)が流出
しましたが、調査された魚介類中の放射性物質の量は基準値を超えるケースはなかったようです。
だからと言って処理水放出をどんどんやろうといいたのではありません。避けることができれば
避けたほうがいいに決まっています。中国は処理水を蒸発乾固して廃棄すべきだと言い張ります。
でもこの処理水はトリチウム水であり、蒸発させて水蒸気になって拡散したらまた大気に広がり、
その後雨となって地中に降り注ぐではないでしょうか。つまり水の中から水を分離できないのです。
果たして中国の科学者の意図は?と思います。また、余程、自国から垂れ流しているPM2.5の方が
どうにかした方が良いと思います。偏西風に乗って我々日本人に健康被害を与え続けています。
中国の大気汚染が日本に与える悪影響に比べれば処理水の健康被害は皆無なのではないでしょうか。