吐き気と下痢の組み合わせ
もう時期的には遅いのですが、巷で流行するウイルス性胃腸炎というのは、いわゆる「吐き下し」というものです。生ガキを食べて「胃腸炎」になる人も多いのです。それもそのはず二枚貝にはウイルスがよくいるものと思ってリスクを承知で頂かないとダメです。「生ガキを食べて当たった!」というのは私的にはナンセンスです。むしろ生ガキに謝って欲しいくらいです(笑)。リスクがあるのですから。生食用のカキは殺菌処理されていますが、焼きガキは加熱用のカキを使っていることが多く、ノロウイルスをやっつけるには85℃以上で1分以上加熱しないといけないので、沸騰したお湯ならば1〜2分、180℃の油ならば4分以上加熱が必要です。私は絶対食べませんが、カキの奥にいるノロウイルスは熱に強い耐性があるので、プルプルの中身がトロッとした状態ではまだ十分に火が通っていないのです。だから当たるのです!!福井大学の林寛之教授が書籍で紹介していた「パンツとズボンの法則」というものがウイルス性胃腸炎にも当てはまると紹介していました。順番が大事ということです。吐き気と嘔吐に続いて水溶性下痢が起これば典型的なウイルス性胃腸炎の症状の出方です。「ひどく嘔吐した後に、辛いと思っていたら数時間後からおしっこみたいなシャーシャーの下痢が出まして・・・」という言い方の患者さんは典型的なウイルス性胃腸炎といえます。困ることは嘔気嘔吐だけで発症早期に受診されると、何の病気かわからないことが多いのです。しばらくして水様性下痢が起こればウイルス性胃腸炎といえますが、そのまま下痢がなければ、虫垂炎や心筋梗塞、妊娠、敗血症、糖尿病性ケトアシドーシス、頭の病気など胃腸炎以外の病気が顔を出すこともあります。パンツズボンの法則にあるようにズボンを履いてからパンツを履かないのと同じように下痢腹痛に続いて嘔吐が起こってくる場合は胃腸炎以外の可能性を考えなくてはいけません。我々医者にとっては違和感しかありません。腸閉塞、急性虫垂炎、子宮外妊娠などの恐ろしい病気を考えて調べる必要性があります。ついでに言うのならば「下だけはおかしい(腹痛下痢だけで嘔吐嘔気がない)」のです。あの悪名高いO157の大腸菌やサルモネラ菌など細菌性の大腸炎は、嘔気嘔吐がほとんどないのが特徴です。ウイルス性胃腸炎は排便時に腹痛の訴えがありますが、そうでない時には痛みはありません。細菌性胃腸炎は腹痛が激しく、便が1回量が少なめで鼻水のようなネロネロした粘液便が特徴です。粘液がズタズタに剥がれると血便になってきます。