好きなものをどうぞ召し上がれ
外来に来られる患者さんたちとお話をしていると、皆さん元気に感じます。
歩いたり、自転車に乗ったり、車出来たりと色々な手段ではありますが、
皆さんクリニックに来れている時点で、治療中もしくはお悩み中ではあるものの
自力もしくは家族の介助で来院いただいているのです。そのことは実はものすごく
恵まれている状況であると思います。来院できない人の中には施設に入所していたり
長期療養型の病院に入院していたりと自力では動くことができず、介助での移動も
困難になってしまうことも少なくないからです。
年齢を重ねても健康を保ち、長生きするためには、どんな食生活がよいのでしょうか?
高齢者の方の食事法としてはカロリーとタンパク質を積極的に取ることが望ましいようです。
私のように肥満になると生活習慣病のリスクを高めてしまい、関節にも負担をかけるなど
内科的にも整形外科的にも良くないことが知られております。
ですが、高齢期になると食事量が減りかつ、食事内容が偏ることで”低栄養状態”になるのです。
厚生労働省の調査によると、全国の訪問看護を利用している高齢者のうちBMIが18.5以下の
低体重に属する人が60%に上り、BMI16未満の重度のやせに属する人が28%でした。
※BMIは18.5以上25未満が普通体重で25以上が肥満です。
低栄養になると筋肉が分解されてエネルギーとして使われるので筋肉量が減り「サルコペニア」
という状況になり、サルコペニアから活動低下に陥り身体機能が低下することで「フレイル」
になります。フレイルは虚弱状態で、要介護状態の一歩手前の方々を指します。
低栄養を防ぐ方法はしっかり食べることですが、高齢期に一度細くなった食が改善することは
なかなか難しいのが現状です。対策としては、健康管理の方法を根本から変えることで、
塩分やカロリーを気にしすぎることなく、好きなものを好きなだけ食べることが望ましいです。
特に、肉や魚、卵、大豆などのたんぱく質が重要であると考えます。おかゆさんを食べるよりは
アイスクリームや卵料理などを食べたほうがよいでしょう。
じゃあなんで俺には外来で厳しいことを言うんだ!!!と50~60代の方は思うかもしれません。
それは糖尿病などの生活習慣病が治療中であれば話はまた別です。疾患治療を優先します。
年齢に応じて、また、背景(持病)によって指導する内容は百人十色なのです。