床屋外科医 パレ
中世ヨーロッパ(16世紀以前)では、外科的な治療は床屋さんが行っていたとされます。アナトミア
(秋田書店)の漫画にもされておりますが、髪を切ること以外の仕事の方が大変だったのでは?と
考えさせられます。今でも、理髪店の前でクルクル回っているサインポールは、赤と青と白が
メジャーですよね。赤は動脈、青は静脈、白は包帯を意味しているようです。床屋外科とか理容外科医
などという職業名だったようです。7.8世紀ごろにはすでに職業化されていたようですが、理容自体
の歴史は医学が発達するようになり、外科が医学の分野として記録されるようになった12,3世紀ごろ
から記録として残されております。昔の外科医の仕事は腫れものを切開したり、腕や足が大砲などで
ぐちゃぐちゃになったりすると切断しなくてはいけません。もちろん当時は今のような全身麻酔がない
わけなので、屈強な男4~5人が患者を押さえつけて切断術をしていたようです。怖っ!
そのために、よく切れるカミソリであっという間に足を切断する技術が必要とされていたのです。
ジョニー・デップ主演の「スウィニー・トッド」という映画がありましたが、これは19世紀のロンドン
が舞台になっていて、患者さんが治療を頼みに来るシーンもあります。内容はホラーです。
本日の主役のパレという理髪師は16世紀のフランスに実在した方です。四肢を切断する時に血管を
結んで(結紮)止血をしたり、傷の消毒、骨折や脱臼の処置、気管切開を行っていたとされています。
電気メスがない時代なので、なかなかの勇気だなぁと感心します。勇気というよりも上手いんですね。
パレはいろいろな処置ができるという功績により王様の侍医になったと言われています、
このパレの言葉、大変謙虚で大好きです。「我、包帯するのみ。神、これを癒したもう」すごくない?
この感性!?我々医師はこの言葉を忘れてはいけないと思います。