忙しい宇宙旅行?
宇宙飛行士…一度は憧れる職業ではないでしょうか?宇宙といえば、35年前1990年のTBS社員だった
秋山豊寛さんを思い出すのです。ロシアの宇宙船ソユーズで周回軌道上のロシアの宇宙ステーション
に1週間ほど滞在して、秋山さんが伝える宇宙空間の不思議さをTV画面を通して食い入るように連日
見ていました。なぜか当時譲られたゴールデンレトリバーも豊寛と私に名付けられたりしました。
宇宙のような無重力状態では、食べ物の消化に使われる内臓以外の筋肉は衰えて、骨も重力の刺激が
なければ成分のカルシウムやリンが溶け出すので、脆くなって骨折しやすくなると言われています。
現在、宇宙飛行士達は国際宇宙ステーション(ISS)に1年近く滞在することもあり、
筋力トレーニングは必須なのですが、適度な運動をしていても心臓が縮んでしまったという事実が
報告されています。無重力でも心臓が縮んでしまうのはなぜなのでしょうか?
NASAの宇宙飛行士スコット・ケリー氏はISSの長期長期フライトエンジニアとして2015年3月から
340日間を宇宙で過ごしました。滞在中は週6日間、1日に1〜2時間のエアロバイク、トレッドミル、
ウェイトリフティング、レジスタンストレーニングなどによる適度な運動を続けてきました。しか〜し、
地上に戻るとケリー氏の心臓は機能的に異常はないものの、左心室の質量が低下しており、最終的には
4分の1以上も縮んでいることがわかったのです。また、宇宙ではありませんが、2018年に51歳の
ブノワ・ルコント氏が千葉の銚子から泳いでサンフランシスコを目指しました。悪天候やサポート船の
トラブルにより予定された3分の1を終えたところで断念することとなりました。ですが、結果的には
159日間で2821kmもの距離を泳いだのです。1日平均6時間近くを泳いだのです。陸に上がって検査を
受けると左心室が縮んでいることがわかりました。この2人に共通して言えることは無重力環境であった
ことです。心臓があまり頑張らずに血液を送り出せたので負荷がかかっていない状況のために、
縮んでしまったということになります。重力は普段我々は意識もしていませんが、無重力が及ぼす
影響は、想像以上のことが起こるのです。現在、他の宇宙飛行士達13名も心臓が調査されていますが、
相当な負荷をかけないと心臓が萎縮してしまうとすれば、今後宇宙旅行が一般的になっても、のんびりと
くつろぐような旅行ではなくて、筋トレに次ぐ筋トレをしなくてはいけない可能性もありますね。
つまり、忙しい宇宙旅行になるというわけです。ゆっくりと重力を感じながら家でくつろぐのが
一番かも知れませんね。