2024.03.15

新型コロナ感染の後遺症

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の患者が2019年12月に初めて報告されてから、

約4年が経過しました。その間皆さんの生活にも大きな変化があったのではないでしょうか?

マスク生活や黙食、ソーシャルディスタンスなど今となっては懐かしいワードもありますよね?

その中で、急性期治療やワクチンについての開発がすすめられるとともに罹患率や

死亡率は低下し、WHO(世界保健機関)は2023年5月に緊急事態宣言の終了を発表し、

事実上の流行収束が宣言されました。日本では同月に感染症法で5類へと移行し、患者の

数の全数把握や医療費の公費負担が終了することなりました。ですが、急性期症状の後に出現したり、

持続・遷延する各種症状には未だ知見が乏しく、多くの患者さんが苦しんで、日常生活が制限される

ことで、日本のみならず世界的な社会問題となっているのです。

新型コロナ後遺症は、『発症から3か月間、少なくとも2か月間持続する症状があり、倦怠感、呼吸苦、

認知機能障害が主な症状であるが、その他の症状もあり、一般的に日常生活に支障を及ぼす状態』と

定義されております。

日本の報告を見ていると、女性患者さんが多いこと、年齢層で言うと30~50歳代が全体の60%を

占め、10歳代の若年層も14%含まれています。

症状としては頭痛、睡眠障害、呼吸困難、嗅覚障害、味覚障害、脱毛などが頻度の高い症状として挙げられ、

3つ以上の複数の症状をもつ患者さんもおられるようです。

デルタ株の時には、嗅覚障害・味覚障害・脱毛が多かった症状が、オミクロン株では、倦怠感・頭痛、

睡眠障害、呼吸困難が増加しております。記憶力の低下・集中力の低下、考えがまとまらないなどの

症状は、僕らの業界では「ブレインフォグ(脳が霧にかかったような状態)」と呼ばれ、30~50歳代に

かけての仕事や整形の中心を担う世代で多く認めており、社会活動への制限に直結している可能性があります。

治療が確立しているとは言い難いのですが、薬物によるアプローチとして、漢方薬や亜鉛、抗ウイルス薬での

治療、興味深かったのが、肥満患者さんであれば急性期にメトホルミンというお薬を投与することで

後遺症発症を抑制できることが報告されておりました。

いずれにしても、ワクチンと後遺症発症の関係を集めたメタ解析(信頼度の高い研究)においても、

コロナワクチンの複数回接種による後遺症への有効性も報告されております。

まだまだ謎の多い新型コロナウイルス!やはり、我々にご相談いただけましたら幸いです。