2025.11.09
柿の実は赤信号
秋が深まると柿の実の赤みが日毎に鮮やかさを増していきます。そんな季節ですね。
柿は中国が原産と言われております。日本では甘柿、渋柿、合わせて800種類以上あると
されています。甘柿は、富有、次郎、御所、禅寺丸、渋柿では平核無(ひらたねなし)、
会津身不知(あいづみしらず)、西条、愛宕などが有名です。以前、大学勤務の時に、
アルバイトで白山市河内村にある診療所の訪問診療で出かけた際に、伺うお家ごとに
柿を袋一杯にいただいた記憶があります。渋柿をアルコールで処理(さわす)したもの
とのことでした。柿の果肉の中にはタンニン細胞が広く分布していて、タンニンは成熟する
頃には不溶性のタンニンとなるのが甘柿で、成熟しても可溶性のタンニンのままのが渋柿
なのです。この可溶性のタンニンが柿の渋みの元になっていて、多く摂取すると便秘になり、
甘柿であっても真っ赤に熟していなければ可溶性のタンニンが残っていて便秘の原因になる
ようです。「柿のみが赤くなると医者が青くなる」という諺がありますが、柿は滋養に富んで
ビタミン類も多く含まれています。そこで柿を食べれば柿を食べることで栄養ビタミンを摂取
することで体が丈夫になり病気にもかからなくなる。だから医者が暇になるとの解釈があります。
ここ最近、外来で思うのは柿のシーズンになると糖尿病・肥満に悩んでいる人たちは、私が差し出す
検査データに顔を青くするので、柿の身が赤くなる頃は患者が青くなると言った方が現実味があります。
朝夕の冷え込みと共に狭心発作が起きやすくなる時期は、柿の実の赤を赤信号と捉えるべきかも
知れませんね。