2024.12.05
歯周病に抗生物質は効くのか?
先日外来で、「先生!歯周病になって歯茎がパンパンになったけど抗生剤で治りました」
とおっしゃる方がいました。へーそうなんだ・・・とも思わずに歯科の説明がイマイチだな
と感じました。歯周病の主な原因は歯周病原菌です。歯周病原菌はプラーク(歯垢)の中を
住処としています。このプラークは付着して24時間以内であれば歯ブラシで落とすことが
可能なのですが、放置しているとバイオフィルムという固い膜をつくってしまいます。
バイオフィルムになると付着力が強く、歯ブラシで擦っても落とすことができません。
抗生物質はこのバイオフィルムのガードに跳ね返されてしまい、内側に浸透できずに
効果が少なくなると言われています。つまり、実際には抗生物質では歯周病は治らないのです。
一方で、歯周ポケットの中から歯茎の内部に侵入してきた歯周病原菌には効果がありますので
抗生物質を内服することで歯茎の炎症を抑える効果はあります。急性症状(歯茎の腫れ、痛み)
がある時には短期間だけ抗生物質を服用するのはアリです。ただし、上の説明をしてからでなくては
患者さんが誤って理解してしまう可能性があります。でも、歯周病の再発予防には、なんといっても
毎日の徹底した歯磨きと、定期的な歯科医院での歯のクリーニングです。
プラークコントロール大事ですね。