母との会話
私は勉強は好きなほうでした。そして勉強が苦痛に思ったことはありません。
ですが、学生時代(小学〜高校生)は体育、美術というものが非常に難儀しました。
つまり才能がないのです。体育に至っては鉄棒や平行棒をやらされましたが、
本当に死を覚悟しました。星野富弘さんのように頸部の怪我をしてしまったら・・・と
本気で思いながら体育の授業に出ていたのです。私は太った運動音痴です。今もなおです。
さらに、その上をいく苦手分野は美術。外科医になって手術記録を書くのですが、
全く才能がない。ですから絵は小さく自然と文章での説明が多くなってしまうのです。
上司からよく注意されました。でも書けないのです。解剖の本を見ながら描いても描けない。
そんなエピソードの中でも実家にあった猫の粘土像。こんなの作ったかなと思いましたが、
しっかりと入谷敦と書いているのです。母に聞くと「チーター」を作ったらしいとのこと。
作者が忘れているのに、なぜ母が知っている?嫌な記憶を消し去ろうとしているのか・・・
にしても、私が作った割には上手だなと正直思いました。猫でもチーターでも・・・
人間の長期記憶は、愛着と嫌悪のどちらかに傾くメカニズムがあるようです。自分が作ると
自ずとプラスの感情である愛着が生まれやすいとされています。これは、自身で組み立てる
家具メーカーの「イケア」に由来するイケア効果と呼ばれる認知バイアスとして知られています。
自分の創作物を過大評価する傾向を表します。このイケア効果は、最初から最後まで自分で作ることに
成功した場合に起こりやすく、途中で他人の協力を得たり、失敗した場合は起きづらいのです。
母:「その猫持って行ってクリニックに飾ったら」
私:「チーターじゃなかった?」
母:「どっちでもいいから持ってきな・・・」
私:「処分してください涙」
北海道生まれの私としては、「イケア効果」ではなくどうせならば「ニトリ効果」にしてほしいです