涅槃
2〜3ヶ月前に書店に行った際に垣根涼介氏の「涅槃」が平積みされていました。
垣根涼介さんの小説は「光秀の定理」や「信長の原理」、「武田の金、毛利の銀」などを
読んだことはありましたが、戦国三大悪人と言われた宇喜多直家について書かれた小説
とのことです。涅槃というと「煩悩の日が吹き消された状態」と説明されており、何のこと?
となりませんか?全ての束縛から解脱することで不生不滅の境地に入ったことを言うらしいのです。
お釈迦様が、涅槃に入るときに弟子に向かって「私は疲れた。横になりたい。2本並んだ沙羅双樹の木
の間に頭を北に向けてとこを用意してくれ」と頼み右脇を下にして床の上に横たわったのです。
その瞬間が釈迦涅槃図としてさまざまな絵画に残されています。
なぜ右側臥位(右を下にした体勢)なのか?肺の状態から推察するに換気量・血液量ともに、
下側になった肺に多く流れることがわかっています。横隔膜の動きも大きく換気率が良いとされます。
右側臥位の場合、換気量は右肺が67%。左肺は33%。肺血流量は右肺が69%、左肺が31%です。一方
左側臥位の場合、換気量は左肺が57%。右肺は43%。肺血流量は左肺が59%、右肺が41%です。
換気量血流量は均衡していますが、換気量・血液量ともに左肺よりも右肺の方が多いのです。これは
呼吸機能から見ると右側臥位の方が左側臥位よりも有利であることがわかります。
涅槃前から衰弱が酷かったので右下にした体位が楽だったのかもしれません。また、仰向け
でねると、緊張性迷路反射と言って全身の手足が伸展し背筋が突っ張る姿勢となります。
緊張性迷路反射を防ぐのは側臥位なので仰向けで寝るよりも横たわって寝る方が理論上楽なはずです。
右下にした横寝の姿勢は、門脈から肝臓へ流れる血流量が多くなり、老廃物の処理に有利となります。
お釈迦様のように右側臥位で寝るのが望ましいのですが、北枕はお勧めできません。
ちなみに、私もポンポンも仰臥位(仰向け寝)で寝ています。