2025.12.15

目の疲れ

12月も残すところ2週間余りとなりました。師走に入ると身辺が何かと気ぜわしくなるものです。いつもとそんなに変わったことがないはずなのに妙に落ち着かない。そんな経験ありませんか?実際今がそうです!と思っている方も多いのではないでしょうか。「やれ年末だ。やれあと何日で大晦日だ」と世間が騒ぎ立てていることにも多少はあおられてはいるものの、気ぜわしくしている張本人は実は自分自身なのです。「今月に入って急に忙しくなったせいかどうかわかりませんが、近ごろ疲れやすいんです。それに肩が凝ったり、胃がムカムカしたりするんです。内科とは直接関係ないと思うのですが、目の芯が痛かったり、物を見るときはボケたりもするんです。もう全身ガタガタなんです」という30代後半の男性が外来にやってきました。この患者さんは話を伺っているとめちゃくちゃに忙しい日々を送っているようなのです。そこで、内科的な検査を一通りやってみたのですが、血圧がやや高いぐらいで、ほかに特別な異常所見は見つかりませんでした。ところが、眼科を紹介すると、「軽い調節障害があり、眼精疲労の可能性がある」というお返事をいただいたのです。な~るほどね~眼精疲労だとこの男性の症状は全部説明がつくのです。納得がいきました。眼精疲労というのは、目をよく使う仕事を続けることによって、目がぼんやりしたり、頭痛(特に鼻根部の不快感、圧迫感や頭重感)、流涙、さらに肩こり、めまい、胃部不快感などの症状を起こす一連の症候群のことです。この眼精疲労がなぜ起こるのか?その原因はかなり複雑です。ただ単に目の病気(近視、遠視、乱視、斜視など)があるからとか、目の使い方が悪いからとかではなく、全身の異常、心の不安定などが色々に絡み合って生じるとされています。つまり、眼鏡の度があっていなくとも、目を使う環境や作業量が少なく、精神的にも肉体的にも健康であれば、眼精疲労など生じることはないのです。ですが、体調を崩している時に同じ作業をしていても、眼精疲労になることがあります。このように、眼精疲労の原因は単一のものではなく、目⇒体⇒心⇒環境と密接につながりを持っているのです。目の疲れがなかなかとれず、いつもと違う疲れ方をするようであれば、一度かかりつけ医に相談してみることをお勧めします。