祖父の耳鳴り
私の祖父は10年ほど前に亡くなりましたが、生前はいつも「医者になったら耳鳴りを治してほしい」と
切に言っていました。50代のころからずっと耳鳴りに悩まされて、近所の大繁盛している耳鼻科医院に
通院していました。私が医学部学生だった頃にも何度も何度も新しい治療はあるのか?と聞いていました。
現在国内で300万人以上が悩んでいるといわれる耳鳴りは、原因不明とされておりました。
実際、祖父も言われていたように「なるべき気にしないように」とか「うまく付き合いましょう」とか
いわれるだけだったのですが、近年新たな治療法が開発され、多くの人が改善するようになりました。
耳鳴りの原因は加齢によるものが圧倒的に多く、聴力は20代から低下が始まるのですが、
65~74歳では3人に1人、75歳以上では約半数が難聴とのことです。
加齢性の難聴は高音域の音が聞こえにくくなり脳がその高音域を補おうとして活動を高めるために
脳が過度に興奮した状態になるので、「ピー」とか「キーン」といった耳鳴りが聞こえるようになるのです。
つまり、耳鳴りは音が原因ではなく、脳の過剰な反応であり、音に対して注意が向けられることで聞こえてくる
とのことです。そのため、耳鳴りが続くと危険な音ではないと判断し、耳鳴り自体も落ち着いてきます。
耳鳴りが悪化してしまう人は、ストレスを感じたり、不安を感じたりする「苦痛を感じる脳」が
働くことでさらに不眠や緊張といった自律神経の乱れからも悪循環に陥ってしまうのです。
そういえば、祖父も難聴だったなぁと思いだし、医学の進歩を感じました。
ですが、一見難聴のない若い年齢層の人にも難聴に悩まれている人も多く、原因究明のためには耳鼻科での
精査をおすすめしたいとおもいます。