種痘記念日
5月7日にもお玉ヶ池種痘所のお話をブログに書きましたが、本日も大事な記念日です。1796年の今日、英国のエドワード・ジェンナーが歴史的な人体実験を敢行いたしました。「牛痘に罹ると天然痘に罹らなくなる」と言う言い伝えを実証しようとしたのです。ジェンナーの話は戦前の日本の子供達にもよく知られていて、大正9年文部省発行の児童用「尋常小學修身書 巻四」には、「イギリスのジェンナーはふとしたことから、牛痘をうゑて痘瘡を予防することを思ひつきました。(略)二十年あまりの間様々にくふうをこらし、とうとう種痘の法をはつめいしました。まづ自分の子供に牛痘をうゑてみた上、書物に書いてせけんの人に知らせました」と書かれている。まだやったことのない危ない実験をまず自分の息子に試したのです。このように日本人好みの美談として小学生に教えていたのです。実は牛痘ではないもののジェンナーが息子に種痘を行ったのは事実なのです。最初の牛痘接種の7年前に、彼は当時10ヶ月であった長男エドワードに天然痘の軽症型である「豚痘」を接種しています。よく見かけるモンテヴェルデ作の彫像は少年を膝の上に乗せて右手を掴み、右上腕に接種している情景です。皆さんもお目にしたことがあると思います。戦前の日本でもからり知られたものであり、リアルで緊迫感に満ちたこの彫像が「自分の子で実験」と言う作話を作り出したのかもしれません。実際の牛痘の被接種者はジェームス・フィップス少年であり、この少年の素性がはっきりしないことも誤解を生む原因となったのかもしれません。とにかく1796年のことですから江戸時代、寛政の頃です。歴史的な出来事には謎が多いものですが、フィップス少年の牛痘接種風景の絵葉書が残っていますが、明るい部屋に美人看護師さんが二人付き添っている絵です。ですが、実際にジェンナーが日頃種痘を行っていた小屋は、薄暗くて牛小屋のようだったはずです。いいように歴史は書き換えられます。