血圧測定
医療系のお仕事をしている人は、聞いたことがないはずはないと思います「クッシング症候群」。
脳外科の父と称されるHarvey Cushing(ハーヴィー・カッシング)が1869年4月8日に、
米国のクリーブランドの医師の家庭に産まれています。彼はクッシング症候群、クッシング病で
もちろん有名なのですが、といっても知ってる〜という病気ではありませんね。クッシング症候群
は腎臓の上についている副腎というところからホルモンが過剰に分泌(出される)ことで発症します。
クッシング病は脳の下垂体から副腎を刺激するホルモン(ACTH)が以上に分泌することで発症します。
実は、彼の脳外科医としての先駆的業績を上回る臨床医学への貢献は、バイタルサイン(生命徴候)
としての血圧測定を導入したことだと思います。今は、どこでももちろん当院でも血圧測定を来院時に
しますよね。このバイタルサインは脈拍、呼吸、体温、血圧、意識レベルの5つが基本です。つまり
生きてますか?を確認する上で重要なのです。当たり前のことすぎて凄さがわからないかもしれません。
電車でいえば、線路を発明したレベルだと思います。余計に訳わからないでしょうか?笑
上腕に巻いたマンシェットで空気を膨らませて血圧を測定する現在のスタイルはイタリアの小児科医
シピオーネ・リヴァ=ロッチが1896年に考案されています。マンシェットを水銀柱に接続して
空気を送り込みながら手首で脈が感じられなくなった瞬間の圧を収縮期血圧としました。
いわゆる上の血圧(収縮期血圧)しかわからなかったのですが、1920年になりロシアの
ニコライ・コロトコフが近代的な血圧計により測定可能にしています。欧米を見聞旅行中であった
カッシングは1901年リヴァ=ロッチの血圧計を購入し、脈拍と呼吸のチャートに血圧の項目を加え、
1903年にBoston Med Surg Jに発表するも、ハーバード大学は熟練した脈診の方が良いと判断。
ハーバード大学の関連病院であるマサチューセッツ総合病院(MGH)が全入院患者の血圧測定を
行うようになったのは1912年だったとされます。血圧測定は身近ですが、意外と歴史が短いのです。
今日の血圧測定があるのは、彼のおかげです。カッシング先生ありがとうございます。