血液循環の発見
今の世では、「血液の循環」は、小学生でも知っている常識となっています。ですが、17世紀当時の欧州ではWilliam Harvey(ウィリアム・ハーヴィー)が発見した革命的な新知識だったのです。ハーヴィーは1578年の今日4月1日に英国のドーヴァー近くのフォークストンという古い港町に生まれました。彼自身はケンブリッジ大学医学部で甲のように学んだはずです。「静脈は、肝臓で作られた血液を心臓などの体の各部位に送り栄養を与える。動脈は、心臓で精製され肺からの精気や空気を付与された血液を流す。心臓の右半分は、静脈の血液の一部を受け取り、それを肺に送って栄養を与える。左半分は、心臓の左右を隔てる壁を通して受け取った血液を温める。肺の最大の役目は、心臓を冷却すること」この古代ギリシャ以来の学説が2千年にもわたって信奉されていたのです。「循環」つまり血液が巡るという概念がないために体の各部位に送られた血液は行方不明になっていたのです。ハーヴィーはさまざまな小動物を生体解剖して心臓を観察して、心臓は筋肉でできていて、他の筋肉と同様に収縮すると結論したのです。心臓が送り出す大量の血液は一体どこに向かうのか?そしてどこからくるのかと考えていると、今でも通用する知識となる「静脈は心臓に向かって血液を流す血管、動脈は心臓から遠ざかる向きに血液を流す血管」という循環理論の大原則に達したのでした。ハーヴィーが1628年に出版した「動物の心臓と血液の動きに関する解剖学的研究」は、心臓とそこにつながる血管の働きについての膨大な観察記録の集大成でした。さて、人類の進化の過程でこの循環器系に及ぼす「立つ」ことに関する影響はいかがなものだったのか?心臓の収縮圧は約200mmHgで勢いよく全身に送り出されますが、心臓絵への帰りは静脈圧(約20mmHg)により徐々に還流されます。立位であると重力の影響で静脈への血液の停留が加速することとなります。これを解消するために、実は裏技があって、非静脈と呼ばれる迂回路のようなものを通って血液を心臓へ戻すのです。もっとも重力の影響を受けるのは心臓よりも下にある四肢でしょうか。我々哺乳類は四肢の静脈に弁がついていて逆流しないようにしています。下肢は体幹が直立した分だけ、長い距離を重力に逆らって還流する(心臓に戻す)必要があります。従って、足や硬いが最も血液が停留しやすい部位となります。日常生活では人は長時間の立位作業などで浮腫(むくみ)を生じることがあり、靴がキツくなって痛みを生じることもあります。浮腫の原因は、末梢の静脈の血液が停留して容量が増して、静脈圧が上昇することです。そうなれば、先の静脈も渋滞しているので、組織内の毛細血管内圧も上昇し、血管に回収されるはずの体液成分も組織内に停留してしまうので、組織が水浸しになってしまいます。ある程度下肢の筋肉を動かす事で筋ポンプ作用で浮腫を防ぐことも可能です。血液の停留により厄介なのはエコノミークラス症候群で知られる深部静脈血栓症です。やはり足を動かして筋ポンプ作用で長時間のフライトによる血栓を予防しなくてはいけないのです。多分、ハーヴィーの時代にはエコノミークラス症候群はあっても不審死で片付けられていたのではないかと思います。