2024.12.12

血管年齢の復習

10月にもブログで取り上げました血管年齢。その後も好評で自分の血管年齢を知りたいと

外来でお話しいただくことが多くなりました。アメリカの医学者であるウィリアム・オスラーの

有名な言葉に「人は血管とともに老いる」というものがあります。年齢を重ねるごとにしなやかさ

を失い硬くなっていくものです。年齢相応ならば問題ないのですが、生活習慣病(高血圧、糖尿病、

脂質異常症)やストレスなどにより急速に動脈硬化が進行すると、加齢に伴う生理的変化以上に

早い時期から血管が老化して硬くなってしまいます。動脈ってどのくらい老化しているの?

検査地だけではなかなかピンとこないのが普通なのです。そこで生まれたのが「血管年齢」です。

血管年齢を算出するには、「脈波」という血管の拍動を利用するのです。脈波は全身の血管の状態を

反映しているので、動脈硬化が進んでいる状況であれば、その進み具合に応じて波形も変化します。

当院にある脈波計は上肢と下肢の血圧を測定することで、足の血管のつまり具合と血管の硬さそして

血管年齢を瞬時に自動解析されプリントアウトされます。

血管年齢が実際の年齢を10歳以上上回れば、血管が年齢以上に固くなるような病態が潜んでいる可能性

が高くなります。血管年齢は生活習慣病で老化がさらに進むことが知られています。

そんな残念な結果が出た場合は優しくフォローしますよ〜笑

ところで、ものの本には「血液年齢」なるものが血管年齢=血液年齢とする誤りを見かけます。

血液はそもそも血球成分(赤血球、白血球、血小板)とサラサラの水分(血漿:けっしょう)から

構成されています。血液は常に生まれ変わっており、常にフレッシュなのです。

つまり加齢に伴って変化するものではありません。つまり血液年齢なんてありません。

血管年齢は年齢とともに固くなっていく動脈が何歳程度に固くなっているのかを示す指標なのです。