認知症の治療薬について
皆さんもニュースで耳にしたことがあるかもしれませんが、
認知症患者さん全体の60~70%を占めるアルツハイマー型認知酒に対する治療は、
今まで神経細胞に作用するなどして症状の悪化を遅らせるものはありましたが、
根本的な治療薬はなく、昨年2023年12が20日にレカネマブ(商品名:レケンビ)が
上市されております。日本の製薬メーカーのエーザイが米国の製薬会社と共同開発
したお薬なのです。アルツハイマー型認知症の原因が現在100%解明されたとは
言い難い状況ですが、脳の中にアミロイドβというゴミが蓄積してしまうことで発症
させているのではないかと考えられております。このアミロイドβが固まってしまう
前段階で、抗体と結合させて除去しようとするもので、神経細胞がこわれるのはもちろん
病気の進行自体も抑える効果があることが明らかにされたのです。
ですから、アミロイドβができて時間がたっているような状況の方には治療効果が望めなく
神経細胞が壊れていない状況の軽度認知障害(MCI;認知症でも健常でもない状態)の段階や
発症早期にしよすることが適用となっております。
もちろんMRIによる画像検査、施設によっては脳せき髄液の検査になるかもしれませんが、
心理検査での成績で軽度の認知症である診断がなされれば投与可能な施設での治療が開始されます。
確かに適切なタイミングで治療を開始することができれば、患者の生活の質は向上させる可能性は
大いにあると思います。
ですが、従来通り認知症外来と名の付くところにはある程度進行した患者さんも受診されることは
もちろんであり、やるせない気分に陥るご家族も多くいらっしゃるのではないかと思います。
医療業界も新しいところに目が行きがちですが、やはり、認知症予防が一番重要であり、
患者さんのお困りごと、家族の疲弊を無視して新薬!新薬!と喜んでいる医者は愚かだなと思います。
我々医療者は絶対に困っている患者さんを取り残してはいけないと思います。
医療資源が豊富な大学病院や基幹病院こそが、今一度自分たちの有した機能を見返すときなのだと思います。
しがない開業医の独り言でした・・・