認知症の診療
開業するまで勤務していた大学病院では2017年から2023年までずっと認知症に
関わってきました。なかなか認知症診療だけに関わっている医師というのは全国的に
珍しいのではないでしょうか。内科医で。学会でも他大学の先生と話をしていると兼務
していることがほとんどでした。ではなぜ、認知症の診療だけ?と思われるかも
しれませんが、ほかに診療する医師がいなかったことが原因です。
後輩の医師とほぼ2人で年間300名近くの新患(新規の受診)さんをを診ていた事になります。
現在診療している生活習慣病のようにスピードアップなどはできなく、1日に診察できる
患者数も限られております。某科の教授には不採算部門だなとか、何が楽しい?とか
散々言われてきました。それでもこちとら信念があって診療を続けてきたのです。
困っている本人、家族がいる。今困っている症状をどうにかしてほしい。それに応える
必要があるのです。決して心臓外科の時のようなキラキラした格好いい医療ではありません。
専門で取り組んでいる先生には申し訳ないのですが、少なくとも私の経験則ではそう感じます。
努力が報われることも少ないのです。それなのに専門の外来でしっかりと時間を割いて
診療に当たらなければならないのです。つまり一般の外来では到底応えることはできません。
疾患自体に重い軽いはないのですが、もやっとする診療が1日中続くのです。
外科のような「よーーしうまくいったぞ!助かった!」という感覚はゼロです。
だからこそ診療といっても診断、治療の導入だけをみるという、偽の認知症専門医が
多いのでしょう。本来は治療後、大変な時期に患者・家人にどう寄り添うかが腕の見せ所
なのです。今は通常外来で手一杯なので認知症診療に取り組めていませんが、体制を整えてから
古巣を越す規模感の診療に取り組みたいです。それまで乞うご期待です!