認知症もどき
認知症の話題を昨日に引き続き今日もします。暗い話題だからいやだな…と思わないでください。
大体の人はボケますから。他人事と思わずぜひ目を通してみてください。
認知症と診断されたら、その後の対策はどうすべきか?よく聞かれる質問です。実は進行をくい
止めるには、生活を変えずに現在できていることを継続していただくことが大事なのです。先日も
外来で「ゴミ捨てにもいかなくなったんですよ」と家族の人が言っていたことがあります。まさに
このことです。できることをやっていただく。なんなら一緒に付いてきてもらう感覚でもよいのです。
体も脳も使わなければどんどん衰えてしまいます。今言ったゴミ捨て、料理や洗濯などの家事、趣味、
友達との交流、孫守りなどなどできることは継続すべきなのです。
家族の人にぜひやってほしいことは、もの忘れや失敗に怒る、否定するのではなくて、笑顔で接して
あげることです。怒られることで自尊心が傷ついて腹も立ち負の感情しか生まれません。そして、
暴れたり、叫んだり、徘徊したりと問題となる行動が出現してしまうのです。これを説明すると
「そんなに優しくできません、腹立ちますよ」と言われたことがあります。その方の気持ちも
全く分からないではありません。でも我々医療者は患者さんの気持ちも痛いほどわかってしまう
のです。私ははっきり言います。「あなたの接し方では、必ず悪くなります」と文字にすると冷酷
な感じがしますが、ご理解を得るためには避けることができないのです。ストレスなく機嫌よく
過ごしていただくのが結局のところ、お互いが楽ちんなのです。早くに病院受診を勧めるには訳が
あります。それは老人性のうつが発症していることがあるからです。食欲がないとか明け方に目が
覚めるといった症状があれば、年齢のせいではなくて「うつ病」を疑ってみると良いかもしれません。
早期のうつ病であれば薬物治療で8割の方が1年ほどで安定します。このように治る可能性がある
認知症もあるのでできるだけ早期に受診すべきなのです。私が心がけているのは、「あなたは、
ご自宅では○○に役立っていて,奥さん(夫)を助けているんですよね」とお尋ねします。
そうするとまんざらでもない表情をされる方が多いです。この一言でも心の回復につながるのです。