2025.03.29
野口英世
現在の千円札は北里柴三郎になりましたが、以前は細菌学者の野口英世であったことは皆さんご存じ
だと思います。子どもの頃には偉人伝で必ず取り上げられる人物ではなかったでしょうか。
彼は3回ノーベル賞候補になりましたが、結局ノーベル賞は摂れなかったのです。ただし、彼の業績は
大変優れたものです。以前渡辺淳一さんの「遠き落日」という小説を読んですごい人だと感じました。
野口英世は福島県の農家の出身で1歳の時に囲炉裏で左手を負傷し不自由となったのですが、小学校の
先生が野口の才能を惜しんでお金を工面し、手術を受けさせたとされています。そのことから野口は
医師の道を目指し、上京し済生学舎(今の日本医科大学)で学んでいます。実際は支援者からの奨学金
を遊蕩に使ってしまったり、借金を踏み倒したり人間的な側面もあったようです。その後、現千円札の
北里柴三郎の知己を得て米国のロックフェラー研究所に留学し多くの業績を残しております。
蛇毒や黄熱病などが有名なように書かれていますが、実際は、脊髄癆(せきずいろう)という神経難病の
患者さんの脳組織内に梅毒スピロヘータという細菌を発見し、原因が性病の梅毒であることを突き止めた
のです。この業績だけでもノーベル賞に値すると思います。現代のAIDSの原因を明らかにしたレベルで
しょうか。黄熱病も黄熱菌によるものと発表しましたが結果は後にウイルスと判明したり、研究成果には
誤りも多かったのですが、アフリカのガーナに黄熱病研究に出かけた際に黄熱病に感染し、51歳という
若さで亡くなりました。この劇的な死も野口英世の名前を高めることになったのではないでしょうか。