2024.02.07

鉄欠乏性貧血について

昨日の鉄欠乏性貧血の話の続きです。

鉄欠乏の診断は通常の血液検査つまりヘモグロビンを含めた赤血球の数などと

貯蔵鉄としてのフェリチン値の測定が有効です。我々のクリニックでは

血清中の鉄と結合して運搬するトランスフェリンに関する値TIBCを測定し血清鉄との比

をとることで(トランスフェリン飽和率といいます)、鉄欠乏性貧血の診断を行い、

何よりもめまい、頭痛、動悸、全身倦怠感などのわかりやすい症状から免疫力の低下、

集中力の低下、皮膚・粘膜障害、認知機能の低下などの不定愁訴との関連も考慮しながら

潜在的な鉄欠乏症がないかどうかを確認していきます。

鉄分が足りなかったらどうするの?という疑問ですが、昔からひじきがいいと聞きませんか?

ひじきは100gあたり55㎎あった鉄分が、ここ最近6.2㎎へと減量したことが分かりました。

それはひじきの製造方法によるもので以前は鉄の鍋で製造されていたのですが、ステンレス鍋に

移行したことで減ったのです。つまりひじきに、もともと多かったのではなくて調理過程の鍋の

おかげだったのです。同様に切り干し大根も9.7㎎から3.1㎎に減ったとのことです。

食品に含まれる鉄分は①ヘム鉄と②非ヘム鉄に分けられます。

動物由来(肉や魚の赤く見える部分)のヘム鉄は人体への吸収率が10~30%と高いことが特徴です。

一方の植物性由来の非ヘム鉄は野菜や穀類、豆腐に多く含まれ、吸収も5%以下と低いので食べ方に

工夫が必要です。この両者を摂れるのはアサリやシジミといわれます。

お勧めの調理方法は鉄鍋や鉄瓶の使用、お湯を沸かす際に一緒に入れて茹でるタイプの鉄玉の使用も

お手軽です。

血清フェリチンの値は炎症やがんの存在、アルコール性肝障害などによっても上昇するので騙される

こともあります。全身状態や栄養状態などに合わせて評価していく必要があると考えております。

お気軽にご相談ください。個人的には鉄瓶で沸かしたお茶をお勧めしています。