2025.12.19

雪だるま

今年は何回雪かきするのだろう?開業してからはやたらと雪が気になります。それは患者さんが来院した時に雪があると靴や靴下が濡れてしまうからです。極力雪かきをするために業者さんにも入っていただいているのですが、狭いところは人海戦術です。北海道ではよく雪が降ると子供たちが雪だるまを作ってはしゃぎまわっていました。「子供は風の子、元気な子」的な光景はなかなかお目にかかることがない今日この頃です。でも雪だけは子供を子供の世界に呼び戻してくれるのです。そんな雪のアイテムで「雪だるま」を忘れてはいけません。そうそう、雪だるまって結構な肥満体に見えませんか?「お前が言うな!」とおしかりを受けそうですが、肥満には皮下脂肪が多めの皮下脂肪型肥満と内臓脂肪が蓄積する内臓脂肪型肥満に分けられます。皮下脂肪型肥満は西洋梨型であり夫人に多く見られるのが特徴です。一方の内臓脂肪型肥満はお腹がボテッとしたタイプでリンゴ型肥満とも言えます。男性に多くみられ、高血圧、動脈硬化、虚血性心臓病の発症に密接に関与しています。雪だるまはどちらのタイプでしょうか????血管の一番内側の内皮は、血管の収縮や血管壁を滑らかにする物質を分泌することで、血液の流れを調節しているのですが、肥満によりこの内皮の調節機能が障害されることがわかっています。高血圧や糖尿病、脂質異常症を引き起こしやすくなり、脂肪組織からは血栓形成に関与する物質が分泌されているのです。1999年の米国デトロイト市で大雪が降り12日間も大量の湿った雪が降り続き交通機関が麻痺したのです。市民は家から道路に出るまでの道の雪かきを自力でしなくては行けず、20人が雪かき中に発症した心筋梗塞で救急搬送されたのです。一度にこれだけの人数が心筋梗塞を発症したのは珍しく、雪かきと心筋梗塞の関連に注目が集まりましたが、日頃体を動かさない太った人が寒いところに出て雪かきという力仕事をすれば、血圧も脈拍も急増するに違いありませんし、それによっては冠状動脈の内側の壁に強力な圧力がかかり、血管壁にあった粥腫(じゅくしゅ)が破れるかもしれません。破れたところを修復しようとして血液が凝縮して大きな塊を作って血管を閉塞させてしまいます。それが心筋梗塞に至るメカニズムなのです。肥満者が雪かきをすると心筋梗塞になるリスクが高くなることは連想に難くありません。ということで、私は雪かきをしないことにします(笑)。