2025.02.11

頭をぶつけた!

「たんこぶができているから大丈夫です!」と皆さんからうかがうことが多いのですが、

医学的には「皮下血種」というものでいわゆる「たんこぶ」は頭の中の異常とは何の関係も

ございません!ただし2歳未満のたんこぶは頭蓋内出血と関係がありますので「あ~たんこぶね」

と舐めてもらってはこまります。

おでこのたんこぶは、サッカーでヘディングするぐらいなので大丈夫なのですが、頭のってっぺん

頭頂部や左右の側頭部、後ろの後頭部のたんこぶは要注意なのです。意識が悪ければ病院にも

行くでしょうが、目を開いていてもなんとなくいつもと違う、変なことをいう、同じことを繰り返し言う

そんな場合は意識障害として扱います。しかも頭部CTを撮ったほうが早く的確な情報を得られます。

名前や住所、生年月日などの古い記憶よりも、朝ごはんに何を食べたのか、ここはどこなのかを聞く方が

新しい記憶が飛びやすいのでチェックすると良いでしょう。

脳震盪でも75%は、ぼ~とするだけなので、すぐに運動を再開してはいけません。脳震盪後症候群と

言って集中力低下などの症状をひきずることがあります。目を開けて一見元気そうに見えていても、

少しでも意識を失った、頭痛が徐々に悪化してくる、嘔吐を繰り返す、逆行性健忘(ぶつけた時より

さかのぼって記憶がなくなってしまう)がある時は医療機関を受診すべきでしょう。

稀ですが、頭部CTで頭の中に出血が見つかることがあります。

でも意識が良い状態であれば脳外科手術になることはありません。経過を見ます。

頭部外傷は時間との関係も重要になります。急性期の頭の中の出血は8~12時間過ぎて出てくる

ことは非常にまれなので、病院に行くならば最初の6~8時間の方が良いと思います。

困るのは、ワーファリンやアスピリン、プラビックスなどの血液をサラサラにするお薬を

飲んでいる人の場合です。軽い頭部外傷でも10~15%の人に出血を起こして、

いったん出血すると大出血につながるのです。

ご本人はもちろんですが、ご家族の人も忘れては困る情報の一つです。

ぜひ協力して医療機関にお伝えしてくださいね。