頭をぶつけた!
「たんこぶができているから大丈夫です!」と皆さんからうかがうことが多いのですが、
医学的には「皮下血種」というものでいわゆる「たんこぶ」は頭の中の異常とは何の関係も
ございません!ただし2歳未満のたんこぶは頭蓋内出血と関係がありますので「あ~たんこぶね」
と舐めてもらってはこまります。
おでこのたんこぶは、サッカーでヘディングするぐらいなので大丈夫なのですが、頭のってっぺん
頭頂部や左右の側頭部、後ろの後頭部のたんこぶは要注意なのです。意識が悪ければ病院にも
行くでしょうが、目を開いていてもなんとなくいつもと違う、変なことをいう、同じことを繰り返し言う
そんな場合は意識障害として扱います。しかも頭部CTを撮ったほうが早く的確な情報を得られます。
名前や住所、生年月日などの古い記憶よりも、朝ごはんに何を食べたのか、ここはどこなのかを聞く方が
新しい記憶が飛びやすいのでチェックすると良いでしょう。
脳震盪でも75%は、ぼ~とするだけなので、すぐに運動を再開してはいけません。脳震盪後症候群と
言って集中力低下などの症状をひきずることがあります。目を開けて一見元気そうに見えていても、
少しでも意識を失った、頭痛が徐々に悪化してくる、嘔吐を繰り返す、逆行性健忘(ぶつけた時より
さかのぼって記憶がなくなってしまう)がある時は医療機関を受診すべきでしょう。
稀ですが、頭部CTで頭の中に出血が見つかることがあります。
でも意識が良い状態であれば脳外科手術になることはありません。経過を見ます。
頭部外傷は時間との関係も重要になります。急性期の頭の中の出血は8~12時間過ぎて出てくる
ことは非常にまれなので、病院に行くならば最初の6~8時間の方が良いと思います。
困るのは、ワーファリンやアスピリン、プラビックスなどの血液をサラサラにするお薬を
飲んでいる人の場合です。軽い頭部外傷でも10~15%の人に出血を起こして、
いったん出血すると大出血につながるのです。
ご本人はもちろんですが、ご家族の人も忘れては困る情報の一つです。
ぜひ協力して医療機関にお伝えしてくださいね。