風邪薬の謎
今日は12月21日です。なんのひかご存知でしょうか?1221、しんぶんし、
竹藪焼けたとまで言うと、あ〜となるかもしれません。回文(かいぶん)の日です。
そこで「薬はリスク」(これも回文)ということで薬の面白い話をしようと1時間ほど考えましたが
なかなか思い浮かばないので、先月末から来られる方が多い感冒(風邪)の治療について
お話ししようと思います。一番身近なお薬だと勝手に思っているのですが、総合感冒薬ですね。
熱や痛みに対する解熱鎮痛薬、くしゃみや鼻水に対する抗ヒスタミン薬、咳に対する鎮咳薬、
鼻詰まりに対する血管収縮役、痰に対する去痰薬、息苦しさに対する気管支拡張薬など症状を
和らげるために成分がたくさん配合されています。ですが、風邪の原因ウイルスをやっつける成分は
配合されていないので根本的な治療とはなり得ません。さらにいうと早く治るわけでもありません。
総合感冒薬の目的はあくまで、風邪に伴う不快な症状、辛い症状を和らげることです。
だからMUSTで内服しなくても良いのです。ゆっくりと体を休めるにあたって支障があるならば
内服してみては?という場合に用いるお薬だと覚えておくと良いのではないでしょうか。
今の時期TVのCMでも嫌というほど流れてくるので一見、安全な薬だと思っていませんか?
決して安全ではなく、副作用の少ない薬ではないのです。
実際に市販薬で起きた重篤な副作用のうち1/3は総合感冒薬が原因と模されています。自分の
症状に合わせた治療薬を選択し内服した方が賢い選択だと思います。
高齢者の方であれば、カロナール(アセトアミノフェン)以外の解熱鎮痛薬は胃や腎臓に負担を
かけやすいこと、抗ヒスタミン薬(鎮静性の)は前立腺肥大症や緑内障の症状を悪化しやすいこと、
鎮咳薬のジヒドロコデインは便秘や呼吸抑制などの副作用を起こしやすこと、・・・などなど
基本的には総合感冒薬をお勧めしません。個別の症状に対して治療薬を選択すべきなのです。
妊娠中、授乳中の方はいつも頭を悩ませますが、そもそも安全性評価がなされていない成分が
配合されていることが多いので、総合感冒薬を使うのは裂けることをお勧めします。
こう考えていくとやっぱり「薬はリスク」なんですね・・・