鼻づまりのメカニズム
花粉症真っただ中です。特に今年は1月の時点で花粉の飛散が多く、早めの受診治療を勧める情報番組
が散見されていたように思います。日本人の約3分の1が持っているとされる花粉症などのアレルギー
性鼻炎は、くしゃみ、鼻水、鼻づまりなどの症状を呈します。患者数は現在も増加し続けており、
特に鼻づまりは不快で集中力が低下し、睡眠障害の原因となることもあります。睡眠時無呼吸症候群の
患者さんは治療中のCPAPの装着ができなくなるほどつらくなるそうです。
我々医師が鼻づまりの治療を行う際には、鼻粘膜の炎症を取るような、広範囲をカバーするような
薬を処方するしかありませんが、最近、鼻づまりを引き起こす決定的な原因物質が特定されました。
これは超画期的なことなのです!。今後のアレルギー性鼻炎の治療に大きな進歩が期待されます。
花粉症やウイルス感染などで鼻粘膜が炎症を起こすと、血管から体液が周囲にもれて、粘膜が腫れて、
空気の通り道が狭くなるのです。このような場合は、抗ヒスタミン薬を処方しますが、これらの薬は
炎症を抑えて粘膜のむくみを取るもので、鼻づまりの原因物質に直接効いているわけではないのです。
これら薬剤は、心臓に影響したり、眠たくなったり、男性であれば排尿しにくくなったりもする
副作用がみられることもありますし、長期間の使用で耐性ができてしまうこともあります。
今回の話題は、東京大学の研究チームが見つけた鼻粘膜の血管を刺激する物質15-HEDEとよばれる
脂質です。卵の卵白に含まれる物質をマウスに与えるとアレルギー反応が起きて、人間のアレルギー
性鼻炎と同様の症状が出現します。この鼻腔内を洗浄した液体を調べると、15ーHEDEが多く含まれる
ことが分かりました。逆にこの15ーHEDEを投与すると呼吸困難を示し、呼吸回数が減少して鼻づまり
の悪化がみられたのです。鼻づまりの原因物質が解明されたので、次はこれをターゲットにした薬剤の
開発が待ち遠しいです。花粉症の患者さんにとってさわやかな春が来ることを祈っています。
※15-HEDE : 15-hydroxy eicosadienoic acidの略です。