100歳で元気な人の特徴
私は通常クリニックで働いていますし、お昼休みと休みの日は訪問診療をしております。その合間に
特別養護老人ホームの嘱託医をしております。嘱託医というのは定期的に施設を訪問して回診して、
状態をみて処方するという役割です。地域の方も多く入所されているので、地域貢献の一環として
働かせていただいています。さて、その施設の中には結構100歳超えの方がおられます。もちろん、
お話はできないけれどご飯は自力でなんとか食べているよ〜という方もおられれば、本当に100歳を
越しているのですか?と疑問になる人もおいでます。人生の最後まで生き生きと、心身ともに自立した
生活を送ることは多くの人の理想であると思います。慶應大学の百寿総合研究センターでは、以前より
調査をしているようです。その研究の中で明らかになったことは、85歳以上の超高齢者のうち、移動、
着替え、食事、入浴などの日常生活動作を「自立」or「ほぼ自立」で行えている人は約半数で、100歳
以上となるとその割合は約2割になってしまいます。ただし、100歳の時に自立している人はその後も
長生きなようです。自立した高齢者の特徴は以下の3つとのことです。
①心臓血管などの循環器系の老化が遅い
110歳以上の方は心不全の指標であるNT-proBNPの血中濃度が100歳時点で他の100歳よりも低い。
つまり自立して長生きしている人ほど心臓の老化が緩やかであると言えます。
②認知機能を保てている
110歳以上の方は100歳時点で自立した日常生活を送れていて、認知症を発症していない。
③フレイルになるのが遅い
100歳以上で亡くなった高齢者を対象に100〜104歳時点のフレイル状況を調査した結果、
110歳以上で亡くなった人が最も自立していたことがわかった。
これら①〜③の特徴は身体の中で起こる慢性炎症を抑制できていることと関連している。つまり、
肥満、動脈硬化、腸内細菌叢の乱れ、免疫老化、細胞老化の5つです。特に肥満の脂肪細胞から
炎症性サイトカインが多量に分泌されるので、特に注意が必要です。この慢性炎症を抑制することが
重要ですが、健康な身体の維持には「食事」と「運動」に気をつけることが元気な長寿者の鍵かも
しれませんね。