2人のフリーダ
メキシコの画家フリーダ・カーロをご存知でしょうか?等身大の自画像で、しかも本人が2人並んでいるのです。夫であり画家であるディエゴ・リベラとの離婚が成立して間もなく完成した作品で、右にディエゴに愛されているフリーダ、左は拒絶されたフリーだが描かれています。フリーダが6歳の時に罹患した急性灰白髄炎(ポリオ)のために右足が棒のように痩せてしまい、学校でからかわれて内気になってしまい、「陽気で、よく笑う女の子」を空想の中で友達にして遊ぶようになったようです。この絵画の2人のフリーダはその時の「もう一人の自分」から着想を得たと言われています。フリーダは「決して夢を描かなかった。私自身の現実しか描いていない」と述べています。愛する夫の不倫、流産、離婚に加えて18歳の時に受傷した事故の後遺症などの身体的な苦痛、精神的な「現実の」悩みを絵で表現し続けたのです。是非、Googleなどで検索して絵画を見ていただきたいのですが、2人のフリーダの心臓が皮膚と服を通して透けて見えているのです。愛されているフリーダ(向かって右)の心臓は健康で血が満たされています。ですが、愛されていないフリーダは服が破れていて心臓の断面が見えて、心房・心室からは血液が失われています。愛されているフリーダの左手にはブローチが握られていてそのブローチから左鎖骨下静脈につながっています。2人の心臓の間には静脈が空中を浮いてつながっており、左の白いフリーダの膝に達して切断されています。鉗子で止めているにも関わらず止血は止まらず、白いドレスに赤いシミをつけています。1929年にフリーダはディエゴと結婚したのですが、1935年にディエゴはフリーダの妹クリスティナと不倫し、フリーダはそれを怒って夫と別居し腹いせのように、自らもイサム・ノグチ、トロツキー、ニコラス・ムライと不倫をするのです。1939年に協議離婚となるも、1940年にディエゴが歩み寄ってきてフリーダは再婚したのです。解剖学書を参考にして書いたと思われる心臓がなんとも上手だなと思いました。あと、インパクトがあるのは彼女の眉毛。現地の伝統的な化粧法なのですが、これを気に入っていたようです。中央アジアのタジキスタン、ウズベキスタンでもつながった眉はかつては美人の条件の一つだったようです。