8050問題
8020運動というのはご存知でしょうか?80歳になっても自分の歯を20本以上保っていましょう!
という健全な活動です。今日の話題8050問題は実は大学で認知症センターで患者さんを診ていた
時に、結構直面していて科学研究費で研究をしたいなと希望しておりました。書類審査でダメでしたが、
時代が私について来れないのかな?と真剣に考えていましたが笑。この8050問題。80代の親が、
収入の少ない50代の子供の生活を経済面で支える問題です。大阪府の豊中市社会福祉協議会の勝部
事務局長が作った言葉なのです。一般的には、収入のある50代の子供が、収入が少なかったり、
フレイル、サルコペニア、認知機能低下などで生活機能が低下したりした80代の親のの生活面を支える
ことが多いのです。ですが、50代の子供が引きこもりなどで親に生活を支えられていることも少なく
ありません。2023年に内閣府が公表した40〜64歳でひきこもり状態にある人は推計84万人でした。
この引きこもりの定義を、「半年以上、趣味の用事や近所のコンビニなどに出かける時以外は外出しない
などの条件を満たす人」ということです。親が動ける時には問題ないのですが、親が働けなくなり年金
以外の収入がなくなり、フレイル、サルコペニア、認知症などで生活機能が低下した場合は、子供の
生活を支えることが難しくなります。仮に親が経済的にも生活機能にも問題がなく、8050問題をクリア
できても、次は9060問題となります。9060問題は親子ともに生活機能が低下するのでリハビリや
栄養療法が重要となりますが、長生きすれば誰でもフレイル状態や要介護状態となるので、10070問題
まで発展するケースは少数派だと考えます。家族全員が社会的に孤立してしまうと、周囲から気づかれ
ないままの孤立死や、親の死体遺棄などが生じてしまいます。社会的な孤立を防ぐためにはいつかは介入
しなくてはいけませんが、親が入院する時、施設に入るときなどに子供が取り残されないように、
障害年金などの経済的支援により、経済的困窮を少しでも減らす介入が必要となると考えます。
※フレイル:虚弱状態であり要介護一歩手前の状態。
※サルコペニア:筋肉量が減少したり、筋力が低下した状態のこと