2024.05.19

CTと消しゴム

今日もCTの話題です。  みなさん、よく思い出してください。

昔よくおばあちゃんって、手首に輪ゴムを巻いていませんでしたか?

あれは、ファッションだったのか?定かではありません。伺ってみたいものです。

若者もファッション目的でミサンガを巻いたりも、カラフルな輪ゴムをつけたり

しているようです。ですが、巻いているのを忘れて皮膚の中に埋もれてしまい、

数年経過したのちに、手首の難治性の傷や瘻孔、手先の浮腫や筋力低下、神経麻痺、

結合組織の炎症による骨浸食などが起きてようやく気づくことさえあります。

これを「Rubber band syndrome」として知られている病態です。犬や猫など

ペットによくみられるようです。犬猫ならば毛で覆われているのでわかりにくい

のですが、人間が手首や指、足に巻いたゴムを忘れてしまうなんて信じ難いです。

救急をしている時に、たまにお子さんが様子がおかしいとのことで受診し、CT検査を施行

したところ、鼻の中に白く光るものが見つかり、結果消しゴムであることがわかったこともあります。

子供は、何でも穴に入れたがるので注意が必要です。

一般には「消しゴム腫瘍(eraseroma)」と呼ばれています。

ゴムは、CTでは石灰化や金属のようにハレーションしないので、綺麗に高輝度に映ります。

ちなみに、豊胸術のシリコンも高輝度(真っ白)に映ります。

当院でも患者さんが痛いという場所に消しゴムを貼り付けて撮影することがあります。

そうすれば、患者さんの痛みを感じている場所がCT画像で容易に確認することができて

病変の指摘がしやすくなるのです。もちろん、おばあちゃんの手首の輪ゴムも白く光ります。