2024.09.25

MRIの謎

当院ではCT検査を開院時から導入しております。

よく、CTとMRI検査の違いを聞かれることがありますが、みなさんお分かりですか?

同じトンネルに入る検査だけど、検査に入るときに厳重に金属がないかどうかを確認

されたり、検査室に入るとズドズド音が鳴っているのがMRIです。

当院ではCTしかないので使い分けができませんが、CTは臓器や組織の「形状」を正確に

描き出すので、病気の「存在診断」に優れています。存在診断というのはどのくらいの

大きさの病変がどの臓器のどの場所にあるのかということなのです。一方のMRIは、

「質的診断」に優れており、その病変はどんな病気なのか?良性?悪性?ということ

の判断材料になる検査が得意なのです。

当院のCanonのCTは

臓器の形状が明瞭でシャープな画像をみることができる、肺の病変(肺がんや肺炎など)や

骨の病気、骨の中の病変(慢性副鼻腔炎など)、骨折などの外傷も診断しやすいです。

特に短時間で検査が終了できることもメリットであると感じております。

MRIが必要な頭蓋内病変を疑う場合は近隣の病院へ紹介させていただいております。

そんな中、長年持病の腰痛がここ最近ひどくなり専門医の受診を希望し、腰痛精査のため

整形外科へ紹介受診しMRIを撮影(業界用語で撮像という)受けたのですが、原因は診断

できなかったそうです。実際に腰痛患者さんにMRIやCTで検査しても約20〜25%しか

異常が発見されないのです。MRIでは神経の圧迫や筋肉の緊張などは映りませんし、MRIの

異常が患者さんの訴えの部位と一致しないことはよくあります。

その患者さんは失望して帰宅しましたが、実は翌日痛みが和らいだというのです。え!?なぜ?

MRIの磁場(大きな磁石に体を入れるので)が良かったのか因果関係は不明ですが、この方だけ

ではなくこのようなことが散見されるのです。磁石入りの絆創膏は100〜200ミリステラですが、

MRIは1.5〜3テスラと超強磁場が使われます。それだけの磁力があれば痛みに関係ないとは

言えないかもしれません。MRIを撮像しているときに体の温度が局所的に上昇することがあります。

そのような温度上昇が腰痛に好影響を与えたのかもしれません。でも、本当に謎です。