2026.04.08

The Doctor

昨日に引き続き、ブログの題名が英語です。特にこだわりがある訳でもありません。皆さんもひょっとしたら一度は目にしているかもしれない絵画で、英国のSir Luke Fields(ルーク・ファイルズ)が1891年に描いてロンドンのテート美術館に展示されている作品で「The Doctor」というものがあります。私が研修医の時、つまり金沢医大を卒業して旭川医大の第一外科に入局したのですが、心臓血管外科、呼吸器外科、乳腺外科、消化器外科、小児外科が一緒になった大きな外科だったのです。外科専門医になるには全ての外科の経験が必要であり、興味の有無に関わらず全てのチームでの研修をしなくてはいけなかったのです。その際に最初にお世話になったチームの中で人間関係でどうしてもうまく行かず、研修途中でチームが変更になる事件がありました。その際に途中から小児外科のチームにお世話になったのですが、とにかく先生たちが面倒見が良く優しく教えていただきました。小児外科はスタッフの数も少なく、全然わかっていない私も即戦力(?)で頑張らなくてはいけない状況でした。ある日、横隔膜ヘルニアの術後に患者と呼吸を補助するための装置ECMO(エクモ)のそばでずっと管理をしていました。そんな姿を上司が見ていて思ったのかもしれませんが、小児外科チームから心臓血管外科チームに移動する際に、「The Doctor」のレプリカをプレゼントしてくれたのです。患者のそばにいることを忘れてはいけない。献身的に接することを心がけなさいという戒めだったのでしょう。今でももちろん大事にしています。このファイルズ画伯はヴィクトリア女王の命で描いた作品ですが、女王の侍女だった女性の幼い娘が重病となって、女王は侍医クラークに治療をあたらせました。クラークは寝食を忘れて看病し幼女は奇跡的に回復し、心打たれた女王は彼の献身的な診療の情景を絵に描かせたのです。この絵を頂いた時には全くそんな事情で書かれた絵だとは思わず、「ありがとうございま〜す」という気持ちだけでした。なかなか、奥が深く、実はファイルズ画伯は「The Doctor」を2枚書いていてどちらも彼が描いたのですが、構図が左右逆になっているのです。検索すると出てくるのが医師が左から右の患者を診ているのですが、それよりも早くに描かれて米国に渡っていた「The Doctor」もあるのです。実は私がいただいたのは最初に描かれたVersionだったのです。この絵を私にプレゼントして頂いた宮本和俊先生は本当に優しい先生でした。私が開業する前に父が亡くなった際に旭川で勤務医をしようと考えた時期もありました。その時にも宮本先生は親身に相談に乗ってくれたのです。結果、私は旭川に戻らず金沢で開業したのですが、辛い時にはいつも「The Doctor」を診てもっと辛かった時のことを思うのです。忘れてはいけないのは「我々医師は、患者さんに生かされていること」その大原則を決して忘れてはいけないのです。今日は、結構真面目ですね。皆さんも機会があればこの絵見てみてください。