X線発見の日
ヴィルヘルム・コンラート・レントゲンが「新種の放射線」の蛍光作用に気付いたのは1895年の
11月8日だったと本人が言っているそうです。レントゲンさんは慎重な人だったようで、秘密裏に
実験を重ねて、12月22日に初めてベルタ夫人を研究室に呼び入れて彼女の手を撮影したのです。
人体と撮った史上初のX線写真が残っています。でもなぜ自分じゃないの?と思いませんか?
私入谷がレントゲンであれば自分の手のレントゲン写真を後世まで残すために助手に機械操作を
任せます。笑。とにかく、この第一報がヴィルツブルク物理医学協会に提出したのが12月28日、
その別刷と夫人の手の写真を1896年元旦に主な研究者宛に発送したのですが、これが1月5日付の
ウィーンの新聞にスクープされて大騒ぎになったようです。実は1月4日のベルリン物理学会創立
50年祭ではX線発見は未確認情報として紹介されず、論文と写真が会場の片隅に展示のみでした。
ベルリン大学の物理学教室に留学中の長岡半太郎は、「最も珍しきはレントゲンが発見したる
X放射線を利用し撮影したる指の写真なり」と東洋学芸雑誌に報告しています。さすが!目の付け所が
違う!長岡半太郎は初代の阪大の総長です。1月13日には皇帝の展覧実験と叙勲、1月23日には
ヴィルツブルク物理医学協会で記念講演会が開催。講演後の公開実験で解剖学のフォン・ケリカー
教授の手が撮影されました。その後もドイツ各地でデモンストレーションや診断目的で多数の手の
X線写真が撮影されたのです。1月20日には米国のダートマスで腕の骨折の診断と整復に利用されたり
同日、ベルリンで指に入ったガラス片の同定に用いられたようです。その後のX線の利用は皆さん、
ご存知の通りです。我々もいつもお世話になっております。こんな歴史があったのですね〜